と。

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Insight & DataDriven Study Meeting Vol. 2に参加しました

お久しぶりです

仕事が忙しかったり、体力が衰えて19時以降の帰宅意欲が高まってしまったりした結果、 最近はあまり勉強会に足が向かなくなってしまっていました。 更には会社での裁量が増えたという喜びもつかの間、その質・量が圧倒的に増え、 たった8〜9時間の労働で体力の9割を持っていかれるようになってしまったのです……

会社的に「勉強をしよう」とか「インプットを積極的にやろう」という意識を持った人間が四捨五入したら0%になるようなところなのですが、 上司や先輩にこの勉強会をちょっと勧めたところ「一緒に行くか」ということになり、参加してきました。

idd.connpass.com

## 小川貴史『データドリブンってなんだ?』

ビッグデータ」「人工知能」という言葉に合わせ「データドリブン」という言葉も知っている人は知っているバズワードになっているなあと思います。
広い意味を取りがちな言葉ですが、小川さんのお話は特に「意思決定・戦略策定に活かす因果推論」という文脈で「データドリブン」を取り扱っていました。

マーケティングという知的行為を職業とするのがマーケタですが、彼らが「戦略を描けなくなった」という課題感から話が進んでいきます。
「戦略」とは「目的達成のために資源を配分する『選択』」を指す言葉であると定めた上で、マーケタはマーケティングのための戦略を十分に描けなくなっているという課題です。

また、マーケティングの分野では「データの比較」が十分にできていないという危機感を持っているようでした。
具体的には効果測定などの比較の際、単純に「前後を比較する」だけで評価しており、そこに隠れる様々な要因(トレンドのバイアスや平均への回帰など)が考慮できていないことを批判しています。
私もここに強い危機感を持ちながらマーケティングやってます。*1

手法としての事例に差分の差分法(DiD)をベースに傾向スコアマッチングを通した「ちゃんとした比較基準」をもとに、マーケタが「因果構造を捉えて戦略を描く」ことの重要性をお話していました。
そうした中でマーケティング・リサーチという手法は未だに重要で、リサーチによって得られたデータを適切な手順と手法で持って検証するということに、マーケティング業界全体で取り組んでいきたいということでした。

松本健太郎『インサイトってなんだ?』

マーケティングにおけるインサイトについては前の参加レポートを参照ください。

socinuit.hatenablog.com

あと松本さんは、マスクド・アナライズさんと共著で本を出版しているようなのでみんな買おう。

松本さんはとある商材がパッケージを変更しただけで市場シェアを落とした事例をもとに「消費者が商材に対して何を価値として見出しているのか」という部分を、
価値に「機能価値」(=役に立つこと)と「情緒価値」(消費者自身が意味があると感じること)の2つの要素に分解することで説明します。
よく商品開発では「差別化」ということを重要視しがちですが、「機能価値」だけで差別化を図ろうとすると割と早く「詰み」が見えます。
そこで「情緒価値」という新しい次元を取り入れることで、消費者自身が「私には価値のあるもの」と考えて買おうとする方向性を示唆します。
商品の「情緒価値」をうまく作るために必要なのがインサイトですよ、というお話でした。

感想

第一に、自分の会社の社員を連れていき、インプットの機会を共有できたことが大きいかなあと思います。 これを少しずつ社内に広めていきたいところです。

第二に、今月nino_piraさんに呼ばれてData Gateway Talkに登壇させていただくことになっているのですが、
そこで話そうとしていたことがまさに「データ・ドリブン」的な話だったので「被ったァ……!?」って思っています。

data-gateway-talk.connpass.com

正直切り口は大分違うのでかなり参考になりました……という部分が多いです。
あとちょっと抽象化して「数字を追うだけじゃなく、ちゃんと比較する」ということを、マーケティング業界(?)がちゃんと取り組んでいかなければならない、という気持ちはそこそこ強くなってきました。

誰もちゃんとした比較基準を考えようとしない……

それについて勉強しようともしない……

説明すると「なんか難しい、シンプルにならないの?」とか言われる……

シンプルにしてやりたいがそのためには比較基準の設計の重要性をちゃんと語らないといけない……

……ちょっと闇が深そうですが、Data Gateway Talkでは最高密度の7分を提供したいと思います。

感想と勉強会の告知を同時に済ませ、日曜日を有意義に過ごすことにします。

*1:実はきぬいとは一般にマーケティングという職業が嫌いなくせにそこに携わっているという矛盾存在です。理由は明確な科学的根拠なしにエセ科学っぽい手法で主張を正当化しようとする腐敗臭が漂っているからなのですが、ごく少数でももう少しちゃんと科学しようぜって考えている人たちがいるおかげで自分は腐らずにいられるような気がします。