Insight & DataDriven Study Meetingに行ってきました。
データドリブンなマーケティングについていろいろ考える会でしたを
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データ分析系の勉強会やMeetupでは、事業会社さんの「データ分析事例共有」が多かったり、つらみの共有が多かったりする中、今日行ってきた
Insight & DataDriven Study Meetingは、データ分析をいかにしてマーケティング*1に適用し、
付加価値を高めていくかということに関する勉強会だったかなあと思います。
マーケティングにおけるキャンペーンや広告の効果測定にはどんな観点があるか by しんゆう
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主なテーマはデータ分析による効果測定で、見るべき観点とはなにか、というお話でした。
「ある施策が、例えば売上や新規顧客の獲得にどれだけ寄与したのかを知りたい」という場合、真っ先に思い浮かぶのは「施策を打たなかった場合、どうなっていたのか」です。
データサイエンス勢はこれを「因果推論」のフレームワークに落とし込んで、観測できない「施策を打たなかった世界線」を設計しようと試みますが、他にも考えるべき点はありますよ、というお話でした。
因果推論のフレームワークも、それだけで十分過ぎるほど難しい問題ですが、マーケティングの文脈に落とし込んだ場合、「効果測定をして、何をしたいのか」という一歩先の目的を意識する必要がある、という点がとりわけ学びでした。
効果測定はその後の施策や経営の意思決定の評価基準として使うので、もしキャンペーンによらず意思決定が済んでいたら、実施する意味からちゃんと考える必要がある、というお話がありました。
また、割と陥りがちだなあという反省をもとに話を聞いていたのがコストの話で、「施策によってどれだけ売上が上がったか」は、施策に割いたコストを差し引いた上で検討する必要がある、というお話も、忘れがちだなあと思いました。
ただ、マーケティングでの効果測定は完璧にやろうとすると専門家が何人いても足りないくらい複雑なので、どこかで踏ん切りをつけることも、ビジネスの上では重要とのこと。
マーケティングなんもわからん。
「仮説」の立て方、「データ」の考え方 by 松本健太郎
マーケティングに限らず、ビジネスでは答えの不明瞭な問題に直面します。人間はそうした不明瞭な問題に「こうなんじゃないか」という仮の答え(=仮説)を示して、それを確かめる*2という方法をとることがあります。
松本さんのお話は、マーケティングの文脈における問題で、その仮説をどのように立て、データを用いてどのように検証するかについてのお話でした。
マーケティングでは「消費者も意識していないような、その行動を促す意識」という「インサイト」という概念が存在します。松本さん(というか所属される会社)では「人を動かす隠れた心理」と定義づけていますが、
このインサイトは定性的な調査や観察からヒントを得て、それを抽象化することで得られます*3。
インサイトから仮説を導き、その仮説を定量的に検証する、という場合にデータ分析が有効に使えるとか。もちろんそのインサイトが「筋のいい」ものであるかをアンケート形式で検証するという方法もあるようです。
質疑応答
勉強会では珍しく、まとまった時間に質問を集め、それに答える形式の質疑応答がありました。
その際に興味をもった質問は「対象者セグメントや指標の設定はどのようにすればスキルとして磨けるか」というもので、これが比較的KKD(勘・経験・度胸)の世界になっているというお話でした。
しんゆうさんはこのあたりを体系化する必要性があると話していて、その一環に執筆活動を行っているという話でした。
また、キャリアの話では、「マーケティング課題を整理し、何をするべきかを明確に定義し、必要なデータを揃え、データアナリスト・データサイエンティストと分析し、データドリブンマーケティングを主導する人材」は希少であり、今も市場から価値がある存在だと思われる場面は少ないらしい、という話を聞きました。ただ、価値がないのではなく、これからこういう人材の価値が高まっている*4 最中とのことで、結構な穴場なのかもなあと思いました。
感想
データ分析系の勉強会は、データ分析の技術的な側面がメインに据えられがちで、それはもちろん何よりも重要なものではありつつも、売れる仕組みを作るためのデータ分析という部分にフォーカスした勉強会は決して多くないなあと思っています。今後も機会があれば積極的に参加し、マーケティングへのデータ分析技術の実装という部分にコミットできればなあと思う勉強会でした。