【流し読みレビュー】『超図解 新しいマーケティング入門』
メンタルを壊しました。
といっても、多くの皆さんには関係のないことです。
が、わずかなりにも「サポートしたい」というやさしい方には、ほしい物リストを公開しています。
どれを買っていただいても嬉しいです。よろしくおねがいします。
読書感想文
博報堂マーケティングスクール著『超図解新しいマーケティング入門』を読んだので感想文を書きます。
何が書かれている?
「博報堂マーケティングスクール」というだけあって、
広告代理店で有名な博報堂で培われているマーケティングロジックや思考方法について、
図をメインにわかりやすく書かれています。
「生活者発想」とは
本書の1つの軸に「生活者発想」というキーワードがあります。
人によっては聞き慣れない言葉かも知れません。本書の前提知識とまではいかずとも、
基本的なアクションの対象としてこの「生活者」という存在を仮定しています。
博報堂のコーポレートサイトへ行っても分かりますが、
博報堂は「生活者発想」を1つのキータームとして重要視しているようです。
「消費者行動論」と呼ばれる学術領域があるように、マーケティングにおいては、
「消費者」という行動主体に対するアクションを考えることが多かったように思います。
一方で近年*1「生活者」という主体をマーケティングの対象に置く場面が増えてきました。
いうなれば「商品やサービスを購入し、消費する『協力者』」から「それらを使って生活に新たな価値をもたらす『協業者』」としての位置づけが強く意識されるようになったように思われます
*2。
マーケティングにおいては「買ってもらう・使ってもらう」の更に先にまでスコープを伸ばしてアクションすることを志向する意味合いで使われる場面が多いです。
このあたりはマーケターとしてやっている人たちには半ばあたりまえ体操なのかもしれません。
本の構成
「マーケティング」が包含する領域は非常に広大で、1つのバズワードにもなっていることも少なくないです。
特にデータサイエンスが大きな市場拡大を遂げ、それと相性の良いWeb領域でのマーケティングは「デジタルマーケティング」として大いに盛り上がっています*3。
本書はこうした「マーケティング」という広大な領域について、2つのステップに分けています。
STEP1は、よく用いられる基本的なフレームワーク(STPやSWOT分析、3C、4P)からスタートし、ブランドファネルやタッチポイントというような、生活者がモノ・サービスを利用するきっかけやそれによって変化する意識・価値観、さらにNPS、LTVというような、マーケティングの効果を「測る」指標が、どのような理屈で「追いかけるに足る指標であるのか」を説明します。
STEP2では、上記の考え方をデータを使って追いかけ、アプローチすることについて説明されます。
具体的には、「データ」とひとくくりに言っても様々な種類があり、それぞれどのような特徴があるか、メリット・デメリットは何かについて解説した後、どのように使えば何が分かり、生活者に対して何ができるのか、という部分についてのアイデアが書いてあります。
誰が読むといい?
網羅的に図解された書籍なので、マーケティングを知らない人、マーケティング関連の企業・部署に飛び込んでいる人、インターンシップを目指す学生には手元においておくと自身の作業の位置づけや、協業者の意図などをつかみやすくなるのではないでしょうか。
また、そういった人たちを「育てる」側に立っている人にも、OJTの延長や研修教材としてお勧めできるかも知れません。
重要なことに、これはデータサイエンスの本でも、マーケティング「リサーチ」の本でもない、ということがあります。
データサイエンスやマーケティングリサーチはあくまでマーケティング全体の一部の機能、
あるいは解決手段の1つであって、デジタルマーケティングの影響度が強まっている故に重要度は高まっているものの、
あくまでこの書籍のメイントピックではない、ということは注意するべき点かと思います。
ただ、きぬいとのようにデータ分析をマーケティング領域に適用している人間にとっては、
いわゆる「データサイエンス」が、マーケティングのどのような位置でどのように貢献しうるのかが図解されている点については、学びの一つとして得られています。
まあ、こういう位置づけにも明確な正解があるわけではないんですが。
*1:個人的には2017年頃からな気持ち
*2:調べていると「生活者」というワードそのものは1970年代から国内では利用されているようです。バーバルな定義は90年代、明確に現場で見聞きする場面が増えたのはやはり2010年代7日なあと思います。
*3:企業として有名なのはGoogleはもちろん、CyberAgentなども代表的です