と。

Github: https://github.com/8-u8

社会科学系院生,修士課程RTA完走の感想を述べる

先日卒業単位が全て出揃い,無事に修士課程の修了を勝ち取ることができました.

次の課題は4月からの入居先なのですが,これがまだ決まっていません.

「引っ越し難民」とかいう言葉もあるらしく,出費が地味にキツいなあと思います.

 

さて,今回はタイトルの通り修士の2年間を振り返ってみました.

D進ルートを捨てて修士課程RTAは最短の2年で完走しましたが,その中はガバガバプレイの連続だったのです……

博士に行かなかった理由

前回の記事で博士課程に行かなかった理由については別の記事で書こうとしていましたが,記事1本書くほどの内容でもないのでここで言っておきます.

理由は「研究で金を稼ぐビジョンが見えなかった」ということにつきます.このご時世,お金がなくてもできることなんてものはほとんどありません.人間らしく生きようとしたら必ずお金がかかります.

……「研究で金を稼ごう」という発想がでてくる時点で,博士課程には向いていない思考回路を持っているのかもしれません.「社会を変えた結果金をもらえた」「人類の知的活動へ貢献した結果金が降りてきた」というレベルで研究関心に没頭できる人間こそ,研究者という職業は向いているのだと思います.

また,後にも述べますが,「コンスタントに成果を上げる確信がなかった」こともあります.

学部4年から修士1年にかけてこの辺はものすごく悩んだのですが,とりあえず働いてから戻るのも悪い選択ではないと思い,就活をしました.その結果がこれです

研究のルーティーンを確立できなかった修士課程

結論から言えば,修士課程は非常にしんどかったです.「修士は進む価値がある」と言っておきながらしんどいって言うな.でもしんどかったのでここで何度も言っておきます.

当初,修士課程ではこう計画していました.

M1前期: 研究テーマを決定,関連する文献を読み込むインプット期間

M1後期: 研究テーマに関する基礎分析を開始,学会での発表をする

M2前期: 就職活動に注力しつつも修士論文に関する分析を行う

M2後期: 執筆を早めに終わらせ,学会やシンポジウムでの報告をこなす

 

……これらのうち,計画通りにいったのはM1前期だけです.

M1前期は,指導教官のお誘いもあり,科研の研究会に所属させていただくことが決まった時期です.実質的に研究テーマの大枠は決定でき,それによって読むべき論文を読めた時期でした.

しかし就活サイトに登録し,学部の後輩の就活にも触発され,M1の後期からは「仕事先を見つけないと人生が詰む」と思い込み,就職活動に必死になってしまいました.今思えばあまりにも非合理的な決断だったと思います.どうせ内定するのは4月に見つけた企業で,アプローチは6月になるというのに.そして失神するのに.

そこからズルズルと生活的にもダメになり,4月からは就活で心を折られ,M2の後期も後期,まともに研究ができるようになったのは10月でした.RTAのくせにクソみたいなプレイングでした.就職活動のプレッシャーに負けずにちゃんと研究をしていたら,今頃は胸を張ってここに研究成果を書き込んでいたでしょう.しかし現実は修士研究で捨象したところについて論じているに過ぎません.それもガバガバな思考で.最悪です.

出来上がった修士論文も卒業するために執筆し,詭弁マシマシアブラオオメみたいな感じでした.ゴミみたいな論文,いや,論文みたいな豚の餌を書いてしまったなあと自分では思っています*1

修士2年間で評価するのは早計なのかもしれませんが,2年間のスパンで「テーマに関する研究を計画し,検証し,成果を上げる」ことに大失敗した僕は,この界隈から抜け出して然るべきなのだなとも思っています.

勉強は好きですし,最近はこんな本を読んでいるところもあり,統計学統計学で扱うトピックについての興味関心が完全に消えたわけではありません.心のどこかで「研究したい,修士の失敗をリベンジしたい」とも思っています.ですがそれは叶いません.叶えません.

……これから先は学術分野でも競争率が高まるでしょう.そうなるとコンスタントに研究成果を上げるルーティーンを確立していく必要があるのに,研究室はそれを学ぶ場所ではなかったというわけです.研究成果をコンスタントに上げていく事ができない以上,博士に進学しても,また運良く修了しても,そこから先を生き抜くことは僕にはできなかったでしょう.一種の挫折です.ポッキリ.

M進勢,D進を迷う勢へ

他人の人生にとやかく言うのは無粋ですし,こんな記事を読ませて「僕の後悔を読んで考え直せ」とか言いません.書いた理由はただの自己満足と自分のけじめのためです.

ただ,修士課程は「2年間で1つの成果を上げる」という課題を,自分一人でどれだけできるのか,ということを判断できる期間だと思います*2.これが一人でもできる人はどのような進路へ行っても問題ないでしょう.僕にはちょっと難しかったです.他者とプロジェクトを立ち上げ,この点についてちゃんと学ぶ機会がなければ身につかないなあと思い,新卒マンとして初々しく学ぼうと思い,D進を諦めました.

「自分がコンスタントに研究を計画し,成果を報告できるかどうか」だけでD進を判断するのもよろしくはないですが,一つの指標にはなりうると思います.

そんな感じです.

*1:成績は良かったです.相対評価なのでしょうか.面倒を見てくださった指導教官には頭も上げられなければ足を向けても寝られません.

*2:この考え方は,僕の所属する研究室では学術領域の都合上,学生の選ぶ研究テーマに幅があり,指導教官には指針こそ示すものの具体的な指導を十分行うことが難しいことからも来ています.